工法について
概要
当工法では設計(有効)径において、軸部径に対し最大2倍の拡底径を施工する事ができます。
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軸部掘削時
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拡底部掘削時
特徴
| 軸部径 | 1,000mm~3,500mm |
|---|---|
| 拡底部径(施工径) | 1,200mm~4,700mm |
| 施工深度 | 10m~65m |
| コンクリートの設計基準強度(※注1) | 18N/mm2 ≦ Fc ≦ 45N/mm2 |
| 拡底部の引抜き方向の定着地盤(※注2) |
砂質地盤および粘性土地盤 *新たに泥岩、シルト岩(いわゆる固結粘性土)が追加されました |
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(※注1)本工法により施工される杭のコンクリート構造体強度補正値mSnは告示第1102号に従う。特記の無い場合は、日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説JASS5鉄筋コンクリート工事 2018」の「24 節 水中コンクリート」に記載されている「28S91=3N/mm2」とし、寒冷地のため地中温度が低くなる等、現場特有の条件が認められる場合は、必要に応じてコンクリート養生温度による調合強度の補正を行うものとする。
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(※注2)ここでの地盤の種類は、建築基礎構造設計指針(日本建築学会,2019)に従い、「地盤材料の工学的分類法」(地盤工学会基準:JGS0051-2009)および「岩盤の工学的分類法」(地盤工学会基準:JGS3811-2011)に基づいて分類されたものである。砂質地盤とは砂質土および礫質土に区分される地盤であり、粘土質地盤とは粘性土、火山灰質粘性土および泥岩・シルト岩(いわゆる固結粘性土)に区分される地盤である。
メリット
当工法を適用するにあたって最もメリットを得やすい条件は、右図にあるように長い根入長さを必要とする拡底杭で、軟弱地盤が続き支持地盤でしか引抜き抵抗力を確保できないような条件です。
このような条件では、拡底部の大きな引抜き抵抗力により根入長さを大きく低減することが可能で、大きなコストダウンにつながります。
今後は、4社による「S-HND SK-NEO 工法会」を通じて実績を重ね、工法としての精度をさらに上げていきたいを考えています。
S-HND SK-NEO工法における拡底形状による引抜き方向支持力の算定は以下の式によります。
S-HND
SK-NEO工法を採用した杭は引抜き支持力の算定式の適用により、杭径や杭長の低減が見込めます。
そのため廃棄する掘削土量や使用するコンクリート量の軽減につながり、経済的にも環境的にも有利になります。
S-HND SK-NEO工法は引抜きの設計評定だけでなく、施工に関して技術審査証明を取得しています。
施工の品質管理に関して適切な管理基準を定めており、またS-HND
SK-NEO工法技術委員会が施工計画を事前チェックする事で、工法の信頼性を高めています。
下図に示すような上層に軟弱地盤が続き、強固な支持層が深い位置にある敷地条件において、 大きな引抜き力を受ける杭の例を示します。
本例ではGL-30.0m 程度まで摩擦抵抗を期待することができない軟弱な粘性土地盤が占め、 GL-30.0m付近からN値が60を超える固い砂層(支持層)が出現する地盤構成を想定します。
ストレート杭による設計で、杭径φ2,700mmで砂層への根入れ長さを10.0mとしたときに、杭の短期許容引抜き抵抗力は7,700 kN程度、その際の生コン量は214.7㎥となりました。
これを拡底杭に置き換えた場合を検討します。
引抜き評定の無い拡底杭で拡底径(有効径)をストレート杭と同等のφ2,700mm(施工径φ2,800mm)にした場合、軸部径をφ2,000mmと設定すると、ストレート杭と同等の短期許容引抜き抵抗力7,700kNを得るためには根入れ長が16.7m必要になり、施工難度が高くなります。(生コン量は145.3㎥となり、ストレート杭よりは経済的になります。)
一方本工法を採用し、先と同じ軸部径、拡底径で設計すると、根入れ長さを4.5 mとしても7,900kN程度の短期許容引抜き抵抗力と計算することができ、また生コン量も107.0㎥と、ストレート杭の半分程度で抑えることができます。
サポート
技術委員会ではS-HND SK-NEO工法を設計的にも施工的にも品質管理に万全を期すため、以下の様な活動を行います。
- S-HND SK-NEO工法を設計に採用するための技術資料の提供(設計者様向け)
- S-HND SK-NEO工法を適用する杭について、評定との適合性確認
- 各現場においてS-HND SK-NEO工法の説明
- 施工計画書における品質面の確認
- 各施工会社による材料検査を含む管理記録の作成(※注1)
S-HND SK-NEO工法採用をご検討の際には施工会社(雄正工業株式会社、トーワドリル工業株式会社)までご連絡ください。
設計、技術に関する説明、支援(※注2)をいたします。
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(※注1)評定の適合を確認するために施工業者独自に記録・保管します。通常の杭施工時に記録する杭施工記録を代替するものではありません。
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(※注2)S-HND SK-NEO工法採用のための支援は各施工業者により行われます。S-HND SK-NEO工法技術委員会では設計内容の評定との適合確認のみを行います。
建物を支える杭に求められる性能は益々高くなっています。
地中にあり、見ることのできない杭だからこそ、
何十年と杭と向き合うことで得た確かな性能と信頼性を有した
私たちの工法を是非ご採用ください。
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S-HND
SK-NEO工法では、軸部径および拡底部径の組み合わせだけではなく、拡底バケットの種類の組み合わせも含めて傾斜角が決まります。使用状況や施工開始時期によっては利用できないバケットもあるので、設計時には工法会(施工業者)が施工条件も考慮して設計支援を行います。
S-HND SK-NEO工法の利用検討の際は施工業者にご連絡ください。 -
杭設計のうち、S-HND SK-NEO工法に関わる部分においてはS-HND SK-NEO工法技術委員会が確認を行います。
評定上懸念がある部分については設計再検討をしていただく可能性があります。 -
元請建設業者が佐藤工業以外の場合、S-HND SK-NEO工法による杭の施工品質については、通常の施工記録とは別に、評定上の責務として施工会社が独自に管理・記録を行います。
コンクリート配合報告書等の写しをご用意いただく必要がございます。
また、管理上必要な写真を撮影、保管させていただきます。
S-HND SK-NEO工法会
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佐藤工業株式会社
〒103-8639 東京都中央区日本橋本町4-12-19
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株式会社あい設計 東京支社
〒136-0071 東京都江東区亀戸2-26-10 立花亀戸ビル4F
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雄正工業株式会社
〒162-0801 東京都新宿区山吹町130尾張屋ビル5F
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トーワドリル工業株式会社
〒157-0066 東京都世田谷区成城6-5-25第一住野ビル506号